47. 景観と実感

景観と実感

バイクに乗って山道を走る。それがアルペン街道の様なものだったら 「さぞ素晴らしい眺め」 だろう、と思うのが普通ですが、実際に山登りをしている時にはその山の全景は見えません。むしろその山の全景が見たければ、対面の山に登らなければ見えません。

よく欧州のアルペン街道の紹介で日本のバイク雑誌で出てくる右左に180度くびれた道、それらのカーブも大昔の設計で極端に狭い、そんなカーブが何十も重 なっている高度のある峠、そんな峠って実際に走ってみると路面が荒れていて、観光バスにキャンピングカー、クルマに、バイクと、片側1車線しかない道で大 変な混雑です、シーズン中は特に。

こういう峠は 「目立つ」 のですが、意外に地元のバイク雑誌では人気はありません。理由は簡単、「面白くない」 からです。「スカーッと走れない」 のが原因です。その点、写真のような山道は、走ると「スカーッ」 とします。目の前に広がる景色が素敵で、路面状態が良くて、テンポ良く走れるからです。視界を汚すホテルや売店の林立もありません。

今まで、数々の峠を通ってきましたが、それでも過去23年間でアルペンの 「何かが分かった」 程度だと思います。しかし、「通り過ぎるだけ」 の旅ではなく、地元の人たちとのふれ合いもたくさんありました。その中には 「地酒」 や 「郷土料理」 のような物も含まれていますが、ドイツ語での会話や読解(地元のパンフや紹介本)が大いに役に立っています。

アルペン街道はドイツ語圏(ドイツ・スイス・オーストリア・南チロル等)にその約3分の2が集中しています。あとの余生の中で全部回りきれるか、は多分 「ノー」 でしょう。でも、「スカーッ」 とする山道の選別は既に始まって久しいのですが、まだ両手の指の数ほどしか見つけられていません。