46. 丼物とピザ

丼物とピザ

イタリア(南チロル)で 「野菜ピザ」 を食べました。写真ではテーブルの上に直置きになっているかのようできちんと皿の上に乗っていました。でもピザがそれよりも大きくて見えないだけです。ここのピザも、いつも期待を裏切りません。

私は、「はみ出る」 には 「そそられ」 ます。このピザを見た瞬間に大好きな天丼にかぶさっている蓋の縁から 「尾っぽ」 がはみ出している、しかも海老天の先っぽも覗いている、そんな丼物を思い出していました。 「もー、どうにでもして~」 なんていう 「ざわめき」 が内心で渦巻いていましたが、イルカの『なごり雪』を聞きながら始末にかかりました。

このはみ出たピザは、皿の一部が見える位にどちらかの方向にピザをずらす作業をして、皿の地の色で三日月を作りながらナイフでピザの弧を切り取って食べていきます。途中で三日月の真ん中辺を凸にするのもアリです。硬い縁に飽きた頃に柔らかい部分を飽食してアクセントを付けたりします。

「あ~、仕事した」 は、半分位食べ進んだ時にしみじみ思ったりする感想ですが、丼物とピザの違いは、ピザは 「時間との闘い」 という点です。その意味では 「気が休まらない」 のがピザだと思います。 「丼物」 には 「冷める」 という気がかりがありません、普通は。所謂、箸休めが可能です。付き物のおしんこや白菜なんかをつまんで舌を洗うことも出来ます。

しかし、ピザは 「温かいうちに食べたい」 という気持ち、そんな 「強迫観念」 ぽい衝動に駆られて、おちおち 「フォーク休め」 の横着が出来難いのです。ですから、余計に 「一気」 に食べてしまいがちです。丼物の 「漬物」 に相当するのは、ピザの上に散らばっている 「種ありオリーブ」 で、口の中で舌で転がしながら前歯で実をそぎ落として食べた後で、種を皿の縁に貼り付けるのは意外に楽しくもあります。

そんなこんなを考えている間にも、ピザは切り取られ続け、たまに折り畳まれて口の中に放り込まれ、最後には白い大皿だけが残りました。