40. 気遣い

気遣い

「気遣い」、欧州でこれを求めるのは余程の場所(超一流のレストランかホテル等)ならいざ知らず、普通の場所では 「望外」 な事が多いのです。

出張中に、場所はオーストリアなのですが、外れも外れの小都市のたまたま立ち寄った中長期休暇者向けホテルのレストラン、二度と来ないかもしれないレストランでしたが、意外な 「気遣い」 に驚きました。

写真はドイツ語圏ではどこにでもあるウィーン風カツレツなのですが、一見して 「本格的なもの」 であることが分かり、期待できました。それも豚肉バージョンではなく、「仔牛バージョン」 を注文してあったのです。ウィーン風カツレツのオリジナルレセプトは 「仔牛肉」 です。

それで 「何に驚いたか」 かと言うと、写真上にある半分に切られて添えられていたレモンにでした。運んできたウエイトレスさんに 「うわっ、関心ですね、レモンの絞り汁が飛び散らない配慮ですか?」 と聞いたら、「あ、それは絞った時に種が落ちないようにですよ」 が彼女の答えでした。

自分の確信的な問いには答えは分かっているもの、しかしその答えが 「違う」 、でも 「はっ」 とするように違う答えを貰った時には、少し 「感動」 したりすることがあります。まさにこの時に私は 「小感動」 を覚えたのでした。

レモンは単に薄手の網状のもので包まれていただけでした。絞り汁が飛び散らないようには誰もが気をつけるもの、それはそれでお客に任せて、しかしどんなに気をつかってもほとんどの場合にカツレツの上に落ちてしまう種の問題についての 「気遣い」 でした。

種が落ちてしまった時の気持ち、それも様々な形や大きさのものが幾つも落ちてしまうので、すこし 「惨めっぽく」 、楽しいはずの食事が出だしから 「ちょっぴりメランコリー」 になったりします。ほとんどの場合、「あーあっ」 と思うか、実際に口に出しながら、ナイフの丸めな刃先の方で何度もその 「ゴミ」 をすくい取る羽目になります。

このレストランの 「気遣い」 は、そんな出だしの 「つまずき」 に配慮がしてあって、さわやかな気持ちになれました。カツレツその物も大変に美味しかったので、「最初良くて終わりまで良し」 な体験をすることができました。このレストランには 「三つ星」 を心の中であげた次第です。