30. ある事件

ある事件

待ち時間ありの一方通行の峠を越えたら、向こう側はオーストリア領でした。それまでのイタリア側のチロル地方を「南チロル」と言いますが、オーストリア側のチロル地方は東チロルと言います。オーストリアには更に北チロルと言う所もあり、日本で知られているチロルはオーストリア領のチロル(北と東)です。南チロルの知名度は日本では無いに等しいようです。

東チロルに入ったら、しばらくの間は悪道(アスファルトの補修跡だらけ)でしたが、2〜3キロも下ると良くなっていきました。そんな国道のような道を快調に飛ばしていると、シトロエンの新型っぽいバンが後ろから迫ってきて、私が何度もアクセルを開けて引き離したので、相手は余計に興奮したらしく、既に170キロ前後の速度が出ていましたが、2車線だったのが、昇り坂のトンネル少し(50メートル位)手前で右寄り1車線制限してあって、フレッシュに塗装したばかりらしい路上の白いマーキングの線上に延々とラバコンが置いてありました。そいつは減速した私を強引に左から右へと追い抜き、ラバコンを7つも弾き飛ばして、結局は私に投げつけた格好になりました。

なぜ、7つかと言うと、次々と投げつけられたラバコンを避けながら減速し、凝視してなかったら当たるか、乗り上げたら転倒するかでしょうから、全神経を集中してたので、その数を覚えているのです。跳ね上げられたラバコン、その複雑な形故に、地面に撥ねた後にどこに飛んでいくか予想が難しいラバコン、スローモーションのように見えました。結局、最後の7つ目は避けきれないと判断したので急ブレーキで停まり、乗り上げませんでしたが、ABS付きでなかったら、そもそも転倒していたかもしれません。無論、その後にそのクソ野郎を追いかけましたが、下りの曲率の高いカーブが続いて、追いつけませんでした。

私も、走行中にラバコンを投げつけられたのは初めての経験です。